本学術集会のテーマは「“SOZO”想像×創造 活かせ!超音波力」です。超音波医学は先人の豊富な想像力により発展し、様々な領域で創造され進歩してきました。今では医療の中になくてはならず、“超音波力”として病める人の為に数多く活用されています。 想像力とは心に思い描く力であり、創造力は創り出す力です。この二つの“SOZO”が連動し作用して、強力な“超音波力”を成し得るのです。まさに本学術集会は「想像と創造」の場を皆様に提供いたします。
本年4月、二度にわたる大地震(M7.3)が熊本・大分県を襲い多くの家屋が倒壊しました。その際、車中泊が多かったことから静脈血栓塞栓症が多発し重症の肺塞栓症で死亡例が報告されています。全国からは多くの医療スタッフがボランティア派遣隊として現地へ入り、深部静脈血栓の早期発見と予防啓発を行いました。そこで本大会の特別企画として、中心となり活動された済生会熊本病院の西上 和宏先生をお招きし、パネルディスカッション『大規模災害における静脈血栓塞栓症(VTE)への取り組み』を企画しました。平成16年10月の新潟県中越地震(M6.8)、平成23年3月の東北地方太平洋沖地震(M9.0)の大規模災害を経験し、今回の活動にどう活かせたのか、また今後の大規模災害発生時にどう取り組めばよいのかを提言してもらいます。
また教育講演を、産業医科大学の尾辻 豊先生(循環器)、久留米大学病院の中島 収先生(病理)、川崎医科大学の畠 二郎先生(消化器)にお願いしました。その他テーマに則り『超音波力セミナー』と銘打ち、一つの会場二日間通しで多くの講習やディスカッションを行います。足を運べば明日からの検査に何かが役立つ、そんなセミナーになればと願っています。企画プログラム詳細は、ホームページをご参照ください。
福岡県久留米市が生んだ発明家に、通称“からくり儀右衛門”と呼ばれた「田中久重」がいます。幕末から明治の時代に、数々のからくり人形や精巧な万年時計を制作し、“東洋のエジソン”とも呼ばれました。懇親会では、からくり人形の実演会を予定していますので、是非ご参加ください。その他、九州各地には明治日本の産業革命遺産群があり、近代日本の礎となりました。2015年7月にはユネスコ世界文化遺産に登録されています。
ロゴマークは、いつも見慣れたモニター画面をモチーフにしました。超音波ビームが捉えた複雑な文字は、福岡県の「福」を表しています。文字や縁取りは福岡県花である梅の紅梅色です。また、ポスターには九州の古地図を使用し雅感を演出しました。どちらも福岡県スタッフの作品です。
いにしえの日本は九州を西国、福岡を筑紫国と呼んだ時代があります。中国や東南アジアからの南蛮文化や西洋文化は、福岡・沖縄・長崎を玄関口として全国に広がって行きました。しかし伝統文化は技術の進歩がなければ単なるモノマネにすぎず、豊かな想像力と創造力が融合してこそ新しい文化となるのです。皆様のご協力の下、福岡の地にこれまでにない“超音波力”を結集させましょう。参加の皆様の豊かな想像力により、そこから生み出された創造性に富んだ新しい学術集会になりますことを期待してやみません。
第42回日本超音波検査学会学術集会
大会長 野中 利勝
(社会福祉法人 恩賜財団 福岡県済生会大牟田病院)